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10月6日(木) あめ 後 はれ
丈六阿弥陀如来坐像の「文化財レスキュー」2日目!

 こんにちは〜

 今日は、丈六阿弥陀さんの「文化財レスキュー」の続きだよ!

 3月11日の東日本大震災でアチコチずれちゃった丈六阿弥陀さん。たくさんの偉い先生方の手でおそうじしてもらったり、調査してもらったりしたんだ。

 今日は、写真撮影をした後、震災前のとおりにずれを直してもらったんだよ。

 昨日の作業では、後ろの輪っかと、両手と、膝の部分を取り外したんだ。

 本邦初公開!!! 「丈六阿弥陀さんのお腹の中」だよ!

 真下からのぞきこんで見たんだ。右側には頭を支えてる「心棒」が見えるね。モノスゴイ数の補強がされてるね…

 「平安時代の木彫仏像では、心棒で頭を支えるということはしないんです。だから、おそらくこの心棒は、何回か行われたこの仏像の大規模修復のときに付け加えられた構造でしょう。その後、何度も移動したりしているうちに各部がゆるんでしまって、ばらばらになる恐れが出てきたんで、明治時代以降、何度か補強を入れたんでしょうね。」って、作業を取り仕切ってくれた大学の先生が教えてくれたよ!

 ただ、補強や部分的な修理のやり方を見ると、仏師の仕事というよりは大工や家具職人の仕事ってイメージが強いみたい。ザンネンだね〜

 胴体前側の下のはじっこ。胴体前側は、ものすごく古い木材が使われてるんだって。おそらく、平安時代末期にこの仏像が作られた時の部品がそのまま活かされてるんじゃないかな! 木の種類も、今まではケヤキって言われてたけど、古い部品はケヤキじゃないみたい!!

 お顔のアップ。オレンジ色の木肌の上に塗られてる、黒っぽい色が「最初の塗り色」。黄色っぽい部分が、その上に貼られた「金箔」。その上に、今見えてる塗り色があるんだ。少なくとも2回は、色を塗り直すほどの大修復をしてるってことなんだって!

 身体のずれを直した後で、膝の部分を置き直す作業。ここで「ひっこしの日通」さんが大活躍!

 注意深く胴体と合せる…

 身体とずれないように見きわめながら…膝の置き直し、完了!

 おててのおそうじ

 おそうじが終わったおてて。ものすごくでっかい!

 おててを元に戻す作業。かなりの重さがあるんだ。慎重に…

 輪っかを元に戻す作業。輪っかには彩色が残ってるから、特に傷つけないように…

 輪っかは、地震のために位置がずれちゃってたんだ。正しい位置と角度に戻さなきゃね!

 輪っかがずれたりしないように、ワイヤーで補強することにしたんだ。仏師さんの手で慎重に金具が取り付けられたんだよ

 ちょっと見えにくい? ワイヤーは建物に直結して、輪っかの重さを建物で支えることにしたんだ。

 「文化財レスキュー」が完了した、丈六阿弥陀さん。地震前よりシャンとなったんだ!よかったね〜!!


 今回の作業では、丈六阿弥陀さんを調べるためにたくさんの先生方が来てくれたんだ。専門の知識を持ってる先生方がたんねんに調査をすることで、今までわかっていなかった丈六阿弥陀さんのことが、いろいろわかったんだよ!

 こうやって、文化財の意義や価値が明らかになっていくんだね!

 今回は、本当に勉強になったな〜

 じゃ、またね〜



10月5日(水) はれ 後 あめ
丈六阿弥陀如来坐像の「文化財レスキュー」初日!

 こんにちは〜

 今日と明日は、谷地遺跡のハックツはお休み。そのかわり、「文化財レスキュー」をやってもらうんだって!

 「文化財レスキュー」は、3月11日に起った東日本大震災で壊れたり、津波で汚れちゃった文化財を助け出したり、修復したり、保管場所を探して移し変えたりする活動なんだ。

 東日本大震災では、蔵王町の文化財たちも被害を受けていて、ほとんどはまだ修理の手がつけられていないんだ。そんな中で、平沢にある宮城県指定文化財「丈六阿弥陀如来坐像(じょうろくあみだにょらいざぞう)」を、震災前のとおりに戻してもらえることになったんだって! うれしいね〜!!

 作業にとりかかる前の丈六阿弥陀さん。正面からだとおかしいところはないように見えるけど…

 膝の部分がずれちゃって、大きなスキマがあいちゃってるよ!(汗)

 手の部分も、腕から外れちゃってるね…

 作業前に、床や壁を傷めないように養生してるところ。作業担当は、ナント! ひっこしで有名な(株)日本通運さん!! 日本通運さんには、美術品や文化財を安全に運ぶ専門のセクションがあるんだって。今回はそのノウハウを作業に活かしてもらうんだって!

 日本有数の文化財、美術、彫刻、仏像の専門家のミナサマ! みんな、丈六阿弥陀さんを直すために集まってくれたんだ!! ありがと〜

 まずは、頭の後ろの輪っか(「光背」っていうんだって!)を取り外すことに。足場に乗って事前チェックをしているのは仏師さん(仏像の制作や修復をてがける専門職人さん)。

 注意ブカク輪っかを取り外す…
 人と比べると、大っきさがわかるね〜

 輪っかの後ろ側には、長年のホコリがたっぷり!
 ハケでやさしくおそうじしてもらったんだ。

 おそうじが終わった輪っか。所どころに付けられてる板きれは、昭和になってから取りつけられた補強板なんだ。見えないところだからかな?ちょっとザツなオシゴト…(泣)

 輪っかを外した後、像の前にステージみたいな台を作って、いよいよ本格的な作業開始!
 ジツは、丈六阿弥陀さんは体全体が地震でずれちゃってたんだ。ちゃんとした位置に戻すためには、膝の部分を動かさなきゃならないんだよ。それと、膝の部分を外せば像の内部構造とか、修理のようすがわかるんだ。つまり、今回の作業は、丈六阿弥陀さんのことを調べるチャンスでもあるんだ!

 膝の部分(「膝前」っていうんだって)を取り外したところ。中のようすがよくわかるね…

 調査の前に、まずは「お身ぬぐい」!

 注意深く中をのぞきこむ… 

 細かく寸法を計る

 左の太ももの部分(『三角材』っていうんだって)を取り外したところ。ここでビックリ! なモノを発見しちゃったんだ…

 ナニを発見したかっていうと、『木工用ボンドの跡』…(大泣)
 これも、昭和の中頃以降の修理だよね…。仏像を直すのに木工用ボンドって…ボクだったら、ゼッタイにやらないな〜。ザンネン…。

 像の内部。いろんな部材でツギハギだらけになってるね。

 丈六阿弥陀さんは、もともとは平安時代の終わりごろに作られたんだ。その後、江戸時代に大修理がされて、明治時代から昭和の中頃まで、あっちこっちに移しかえられてきたんだ。雨ざらしのまま何年も置かれちゃったことも数回あったみたい…。そのケッカ、いろんな部分が傷んじゃって、何度も部品を継ぎ足すことになっちゃったんだ。 このようすをみると、とってもカワイソウな気になっちゃうな〜。いつか、キレイに手直ししてあげないとね!!

 ところで、まん中に立ってる柱みたいなのは頭を支える棒(「心棒」っていうんだって)。この像は、首の所に大きな隙間があいちゃってて、とっても不安に見えるんだけど、中ではしっかりと頭を支えてるみたいだね! よかった〜

 ファイバースコープっていう、胃カメラみたいな道具で、像の内部をチェック!

 ファイバースコープがうつし出す、丈六阿弥陀さんの内部!

今日の調査でわかったことは…
○頭と胸の前側部分は、どうやら平安時代末期にこの仏像が作られた当時のパーツが残っているみたい。
○その他の部分は、江戸時代に作り直したパーツ…って言いたいところだけど、それ以降の作り直しがけっこうハゲシイみたい。
○塗装は、少なくとも3回塗りなおされてるみたい。
○イッケン危なっかしく見える首のスキマは、中に心棒が通っているからトリアエズ安心みたい。
○像を安置するために大切な、像内部の下端部分は、何度も何度も修理されて、ツギハギだらけになっちゃってる。正直に言って、このままだと長持ちしなさそう…
○これまで何度か修理を重ねてるけど、最近の修理はハッキリ言って「ヒドイ!」仏像や文化財に対する扱いじゃないと思うな…。丈六阿弥陀さん、カワイソウ…(泣)

 ふぅ…。今日はイロイロ勉強になったな〜

 じゃ、またね〜



 
 

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